いざ、ご本山へ(2)
前回の続きです。
現在の大谷暢顯(おおたに ちょうけん)門首は1996年からは現在まで約24年間ご門首を務めておられ、今年で90歳になります。
私は2015年に東本願寺の職員になってから、出来るだけ朝七時から始まる勤行にお参りする様に心がけてきました。
お参りすると、いつも本堂の阿弥陀堂・御影堂の内陣(儀式が行われる空間)にはご門首がおられました。
既に80代後半というご高齢で体力の衰えもあったのではないかと思いますが、夏の蒸し暑い朝も冬の刺す様な寒さの朝も欠かさずお勤めをされ、お勤めの後に5合(大きな法要だと一升)もある御飯の盛られた器をお供えされる姿には、本当に頭が下がりました。
僧侶というのはお寺の運営、儀式、法話など様々な仕事がありますが、その基本は「御堂を守ること、毎日勤行をして仏法を聴くこと」に尽きます。
暢顯門首は聴覚障害を抱えていることもあって人前でお話をされる機会はあまりありませんでしたが、私は毎朝お勤めをされるご門首の後ろ姿から、僧侶としての基本姿勢を学びました。
一方、次のご門首となられる大谷暢裕(おおたに ちょうゆう)氏は暢顯門首の従兄弟に当たる方です。
一歳の時に一家で日本からブラジルに渡り、現地でお念仏の教えを伝える父・暢慶(ちょうきょう)氏の姿を見ながら育ちました。
若い頃はサンパウロ大学で物理学を学び、ロケットの開発などに携わっておられましたが、暢慶氏の没後はその後を継いで、南米の御門徒の皆さんと共にお念仏の教えを伝えて来られました。
暢裕氏は門首後継者となるに当たり記者会見やインタビューでコメントをされていますが、その中で
「親鸞聖人の教えは日本を超えて、世界で通用する教え」
「誰もが集える、世界中の人が共にお念仏を申すことが出来る、そんな東本願寺であって欲しい」
と仰っていたのが印象的でした。
暢顯門首の門首として最後のお仕事が、6月30日夕方の「御扉閉」(みとへい)という儀式です。
御真影の前で勤行を行い、御真影を安置した御厨子(おずし)の扉を閉めます。
そして翌7月1日の朝には、暢裕新門首が御厨子の扉を開けて勤行を始める「御親開」(ごしんかい)という儀式が行われます。
私も門徒の一人として、お参りさせて頂こうと思います。
なお、御扉閉と御親開の様子はyoutubeで生中継される予定です。↓
遠方にお住まいの方も、ぜひネットでお参り頂ければと思います。